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大阪高等裁判所 昭和57年(行コ)47号 判決 1983年9月30日

控訴人(原告) 小沢貞一

被控訴人(被告) 芦屋市長

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は「一 原判決中控訴人に関する部分を取消す。 二 被控訴人が控訴人に対してした別紙賦課処分目録記載の下水道事業受益者負担金賦課処分を取消す。 三 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は主文と同旨の判決を求めた。

当事者双方の主張関係は、次に訂正・付加するほか、原判決事実摘示中控訴人に関する部分のとおりであるから、これを引用し、証拠関係は本件記録中原審及び当審における証拠目録記載中控訴人に関する部分のとおりであるから、これを引用する。

(訂正)

一  原判決五枚目裏四行目の「照合」を「照応」と、六枚目表七行目の「の補助金」を「多額の補助金や起債枠」と改める。

二  同一〇枚目表三行目及び五行目の各「億」の次にいずれも「円」を挿入する。

三  同一一枚目表末行の「受益者」を削除する。

四  同一二枚目裏二行目の「あるので」を「あり」と改める。

五  同一五枚目表二行目の「た。そして」を削除し、裏初行の「公示上」を「公平上」と改める。

六  同一九枚目表四行目の「B負担区」の次に「(以下「A負担区、B負担区という。)」を挿入する。

七  同二二枚目表六行目の「侵水」を「浸水」と、裏初行の「庶機」を「庶幾」とそれぞれ改める。

八  同二五枚目表九行目の「庶機」を「庶幾」と改める。

九  同二九枚目裏一〇、一一行目の「変化や」を「変化、」と改める。

一〇  同三一枚目表一二行目の「受益者」を削除する。

一一  同三三枚目表二行目の「である。」の次に「地価の上昇があつたとしても、自己の所有地を自ら使用しているにすぎない」を、三行目の「現実」の次に「に」をそれぞれ挿入する。

一二  同六四枚目表初行の「別表」を「別紙」と改める。

(控訴人の主張)

控訴人所有地のA負担区では、既に戦前下水道事業が実施され、幹線管渠は敷設済みであり、これに対する受益者負担金も徴収済みであるところ、本件負担金の算定においては、A負担区はB負担区に比べて右施工済みの幹線管渠の工事費に対応する負担部分のみが軽減されている。

しかしながら、A負担区は汚水と雨水が合流する合流式下水道であるのに対して、B負担区は汚水のみを放流する分流式下水道であるから、仮に事業費の総額から受益の限度を算定することが合理的であるとしても、少くとも、A負担区においては、戦前施行の幹線管渠工事費を差引いた総事業費から七〇パーセントに相当する雨水分工事費を差引いた残額について、B負担区と同様の算定基準によつて負担額を算出しなければならない筈のところ、本件負担金の算定が、合流式のA負担区と分流式のB負担区を区別しないで同一基準によつてなされたのは明らかに不合理である。

(被控訴人の主張)

控訴人の右主張は争う。

A負担区とB負担区とで単位負担金額に差異が生じたのは、事業年度や地形の相違等に基づく工事単価の差によるものであつて、下水の排除方式の差によるものではない。

雨水公費汚水私費の原則は、下水道施設の建設費における負担割合をいうものであるが、本件事業計画による総事業費六八億七五〇九万円余のうち、汚水(雨水の交じる場合を含む。)を処理する施設である処理場の事業費だけで、その五〇パーセントを超える三五億二〇〇〇万円を占めている。

理由

一  当裁判所も控訴人の請求は失当として棄却すべきものと判断するものであつて、その理由は、次に訂正・付加するほか、原判決理由説示中控訴人に関する部分と同一であるから、これを引用する。

1  原判決三五枚目裏八行目の「還境」を「環境」と改める。

2  同三八枚目表初行の「とは」を「も」と改める。

3  同三九枚目表末行の「表」を削除する。

4  同四五枚目表八行目の「模様である」を削除し、裏四行目の「良化」を「好転」と改め、一二行目の「ものと推認される」を削除する。

5  同四六枚目表二行目の「ものと推認される」を削除する。

6  同四九枚目裏一一行目の「財力」を「財源」と改める。

7  同五一枚目裏六行目の「るけれども」を削除し、一一行目の「のであつて」から一二行目までを「が、右二つの重複賦課禁止」と改める。

8  同五三枚目裏五行目の「額に」の次に「、」を挿入する。

9  同五四枚目表一一行目及び一二行目を、裏五行目の「その」から七行目の「あつて、」までをそれぞれ削除し、末行の「イ」を「1」と改める。

10  同五六枚目表九行目の「公共」から一一行目の「ところ、」までを削除し、裏末行の「価値の増加」を「増加」と改める。

11  同五七枚目表五行目の「提案」を「提言」と、裏四、五行目の「3及び4」を「5」とそれぞれ改める。

12  同五九枚目表一〇行目の「五三年」を「三六年」と改め、裏三行目の「それによつて」を、四行目の「その」から五行目の「対して」までをそれぞれ削除する。

13  同六〇枚目表初行の「の補助金」を「多額の補助金や起債枠」と改め、六行目の次に改行して左のとおり挿入する。

「(五) なお、控訴人は本件負担金の算定が合流式のA負担区と分流式のB負担区を区別しないで同一基準によつてなされたのは明らかに不合理である旨主張し、弁論の全趣旨によると、A負担区とB負担区とで単位負担金額に差異が生じたのは、事業年度や地形の相違等に基づく工事単価の差によるものであつて、下水の排除方式の差によるものでないことが窺われるが、前記二の5の(二)で認定したように、受益者負担金対象事業費の総事業費五九億七三五一万円余のうち、A負担区及びB負担区に共通する処理場建設費がその約五〇パーセントに相当する二九億八二〇〇万円も占めること、合流式のA負担区においては、側溝や川の溢水がないなど、分流式のB負担区に比べてより良い私生活上の利益が享受できること等を考え合せると、本件負担金の算定がA負担とB負担区を区別しないで同一基準によつてなされたとしても、本件賦課処分が裁量権の逸脱に当る程の不合理があるということはできない。」

14  同六五枚目表初行の「表」を削除する。

二  よつて、前記判断と同旨の原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないから、民訴法三八四条によりこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき同法九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 仲西二郎 長谷喜仁 下村浩蔵)

別紙<省略>

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